僕はこれまでに二度、人が悲しい亡くなり方をする場面を見た。
その記憶は今でもふとした瞬間に蘇り思い出すこともある。
自分自身も、二十代後半から三十代半ばにかけて生きることがつらくなり、消えてしまいたい衝動に駆られたことが何度もあった。
けれどその度に、まるで誰かが見ていたかのように救いの手が差し伸べられ今の自分がある。

ケーキを描き始めた頃それはただの遊びだった。
しかしコロナ禍で人とのつながりが希薄になった時、遊びで描いた誕生日ケーキの絵が、元気を失っていた一人の人を笑顔にした。
その経験を通して絵を描くことは技術ではなく、言葉の代わりに人に寄り添えるものだと思った。

ある人に
「君はただケーキを描いているんじゃない。命を描こうとしているんだ」
と言われたことがある。

僕のケーキの絵は「生命賛美」だ。

生きていると苦しいことやつらいこともある。
それでも息をして、気温を感じ、今日を生きている。
当たり前のようでいて、ふと「生きているな」と実感する瞬間がある。

生きているだけでも素晴らしいことだと思う。
だから僕は一枚一枚、
生きていることを讃える絵を描いていたい。